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「ヨーロッパの食とギフトを学ぶ研修旅行」(4)

投稿日: 2009年10月4日

「ヨーロッパの食とギフトを学ぶ研修旅行」(4)  

ミラノで菓子屋(Bar-Pasticceria)といえばドゥオーモから遠くないコルソ・モンテオッティ
通りにあるサンタンブローズ(Sant Ambroes)がナンバーワン店であろう。1965年6月5
日に初めてこの店を訪れたことは前に書いた。(2008年9月6日にアップした。)あいかわ
らずショーウインドーの飾りつけは素晴らしい。Divinus Cibus のフォトアルバムにこの店のシ
ョーウインドーの写真を掲載しているのでご覧いただきたい。

この記事を読んだ読者かも知れないが、各地の農協でアルケケンジの栽培が始まっているようで
ある。私は今年のバレンタインデーの前後2回にわたって青山の「紀ノ国屋」で10個入り2パ
ックずつ購入した。阪急百貨店ではチョコレートがけした商品が販売されていたそうだ。紀ノ国
屋の仕入部に問い合わせてみると直接、築地市場から仕入れているとの回答があった。築地市場
では静岡農協から仕入れているという。

そこから辿っていくと、近年、チョコレートシェフだけでなく、イタリアンリストランテのシェ
フによって全国的なひろがりがあるらしい。そこであちこちの農協が苗から売っている。島根県
で農業にいそしむ旧友に尋ねたところ農協で苗を売っているという。早速40–50本ほど購入
して旧友と分け合い地植えとプランターで育成してみた。すると「紀ノ国屋」で購入したものと
同じ果実が実った。
しかしイタリアのアルケケンジと比べると果実が大きく皮もかたく分厚い。味や風味も微妙に違
う。フォンダントクリームをかけチョコレートをかけて暫く放置しておいても皮が破れてボンボ
ン状にならない。来年、もう一度違う種子を仕入れて育成テストをしてみたい。

さて話をもどそう。1965年に訪ねたときもオーナーが代わっていたが、今回も同様であった。
日本で言う「居抜き」と同じで、オーナーが代わっても工場長や従業員たちはそのままであった。
店の雰囲気と同じ暖かい空気が漂っていた。菓子づくりから包装まですべてハンドメードである。
だから仕上げた商品はどこも真似ができない風格をもっている。この風格こそがイタリアの職人
気質がつくりあげたものである。別れぎわに工場長が東京高島屋からのたっての要請で実演販売
に日本に行ったことを嬉しそうに語った。

昼食と夕食はモロゾフのイタリアでの仕入代行人、モリナーリ夫人のカルラの案内で中心地から
外れたところにある高級リストランテでイタリアならではの味を堪能した。美味しいものを食べ
たければ地元の人に連れって行ってもらうのが一番である。半日つき合ってもらって交わした会
話から、ミラネーゼ(ミラノ人)はロマノ・ロマーナ(ローマの男女)とは見識が違うんだ、と
息巻くところがあった。北部イタリアが南部イタリアを食わせてやっているんだという驕りさえ
感じた。ベルギーではフランダース語を話すフレミッシュの勤勉さが、フランス語圏のワロンを
養っているという話と同じである。
3月6日。

7時30分、ミラノから特別仕立てのバスでフローレンスへ出発した。途中、サルソマッジョー
レ(Salsomaggore)で下車した。ネアカの茂木の娘さんが修業したこの町のジェラート屋、「フ
ォンタナ」を訪ねるためである。この町は生ハムで有名なパルマ県にあり、古くから気管支炎と
胃腸に特効のある温泉町として名高い。日本の温泉地とは違って医者の許可証というか指示書が
なければ入浴できないのである。静かな町で日本の軽井沢のような風情である。

ヴェルディ生誕の町であるところからパルマのオペラ劇場には耳のこえた聴衆が多いので歌手
にとっては緊張を強いられるところであるとこの旅にずっと一緒に案内してくれるバリトン歌
手、小嶋健二の解説であった。また一年に一回、「ミス・イタリア」のコンテストがあるとも
話してくれた。

「フォンタナ」ではわれわれ一行を暖かい日本の緑茶を用意して心から迎えてくれた。ネアカ茂
木はすっかり感激して主人としっかりハグをして次の訪問先、洋菓子店「トッシー」へと向かっ
た。時間がおしていたのでトッシーの見学はそこそこに切りあげフローレンスへ急いだ。昼夜の
食事は再び各自、自由行動で探して食べることになっていた。

われわれは夜、小嶋健二の案内で本当のビステッカ・フィオレンティーナ(フィレンツェ風のビ
ーフステーキ)を食べた。どでかいTボーンステーキの上にスライサーで黒トリュフを惜しげも
なくたくさんスライスしてもらった味は今でも忘れられない。フリで入った店であったが小嶋健
二の舌先で10年来の知己のように扱ってもらい満足した一夜をすごした。

<つづく>

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