食の大正、昭和史
食の大正・昭和史 第七十二回
2010年04月14日
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『食の大正・昭和史—志津さんのくらし80年—』 第七十二回
月守 晋
●結婚の準備
結婚を決心した志津さんは結婚に向かって準備を始めた。
新しく家庭を営むとなると暮しに欠かせない日用家具、炊事器具などをそろえる必要がある。寝具のように女性の側で、つまり花嫁さんが持参するのが当然と慣習化されていたものもあった。
「主婦之友」昭和6年3月号に写真入りで紹介されている「新家庭向のお臺(台)所道具」を引用してみよう。これには当時の価格もついている。ここで紹介されている道具類は主婦之友社代理部で扱っているかデパートの銀座松屋で売られていたものである。
1.テンピ(上火の要らない簡便型) 4円~
2.ガス台(調理台兼用、高さ2尺5寸<約75cm>) 16円~
3.石油厨炉(石油燃料の調理用ストーブ) 18円~
4.藁(わら)製おひつ入れ(1升5合入り) 3円10銭~
5.幸(さいわい)テンピ(簡単にパン、菓子が焼ける) 2円10銭~
6.魔法飯びつ(コルク製保温・冷蔵両用、2升入り) 6円~
7.米びつ(マホガニー製、内部トタン張り、2斗<30kg>入り) 4円80銭~
8.食器戸棚(3段重ね) 65円
9.流し臺(内銅張り、水切簀(す)の子付き)18円~
10.ふきん掛け(ニッケル製) 50銭
11.軽便棚(金属製) 2円50銭
12.錆(さび)ない包丁 野菜用1円~、 魚用1円60銭~
13.パン切ナイフ 40銭~
14.泡立て器 10銭~
15.缶切り 25銭~
16.水こん炉 1円20銭
17.大根おろし 60銭
18.ガスこん炉(ドイツ製、ほうろう引き) 6円50銭(鉄製3円10銭)
19.アルミ製の箱(洗った食器入れ) 2円50銭
20.ほうろう引きボール 小17銭、大68銭
21.ほうろう引き臺物(バタ、砂糖入れ) 50銭
22.ぬか味噌の水くみ 50銭
23.皿洗いブラシ 20銭
24.お料理フォーク 90銭
25.瞬間湯わかし (一方を水道口に接続して火にかけるとたちまち湯が出る。上で煮物、焼物ができる) 1円60銭
26.計量さじ (大1、茶さじ1、茶さじ2分の1、4分の1各1) 15銭
27.計量コップ 25銭
28.芋つぶし 1円60銭
29.パン焼き網 15銭
30.魚焼き 35銭
31.同上 2円50銭
32.火おこし(炭おこし) 80銭
33.茶焙(ほう)じ(石綿製) 32銭
計 166円2銭
次の19種は煮たき用の鍋、釜類である。
1.軽便圧力釜 3円
2.蒸し器兼用鍋 2円80銭
3.煮物用鍋(これには「理想的の鍋」という名称がつけられていて「落ちつきもよく燃料代も経済的」とある) 50銭~
4.神仙炉(煙突型の蓋付き。現在のトルコ鍋のような形) 2円60銭
5.湯豆腐鍋(平鍋) 60銭~
6.天ぷら鍋(座敷用) 3円
7.天ぷら台(揚げた天ぷらを置く) 3円
8.二重鍋(特に湯煎に最適) 1円~
9.玉子焼(手あぶりの上で使用できる) 45銭
(以下次回へつづく)
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