2010年12月22日
|
『チョコレート人間劇場』 50「それから、ガトーショコラもいいですねえ。 上等なチョコレートを使ってあるんだろうな。」 野中柊は『テレフォン・セラピー』を「真夜中にTELをして、果てしなくおしゃべりをするような。 そんな気持ちでこの本を書きました。」と本の扉で説明しています。 そういうわけですからこのエッセイ集はⅠもしもし? Ⅱそうそう。 それで? Ⅲうん。 わかるよ。 だからね。 Ⅳじゃあ、またね。 きっとだよ。 Ⅴあれから3年。 お久しぶり。 Ⅵありがとう。 さようなら。 といったぐあいに電話の相手に話しかけるおしゃべりが章の見出しに使われています。 引用した文章はⅢの冒頭の「パーティーへようこそ」に続く「好き 好き 大好き」の一節から。 アロマテラピー、ヨガ、呼吸法などなど癒しの方法にはいろいろあるけれど「お菓子作りにもぜったい癒しのパワーがある」と信じる著者は自身でもお菓子作りをするのです。 でも、失敗してヒーリングどころか逆にストレスをためるというようなことにならないためにも「なるべく、シンプルなものから始めるのがいい」とアドヴァイスしています。 著者が作るのはとても簡単なクッキー、プディングなどのほかバナナブレッドをよく作るそう。 「オーブンから出したばかりの熱々のバナナブレッドに、アイスクリームを添えて食べると、ほっぺが落ちそう」なんだというですがあいにく作り方は伝授されていません。 バナナブレッドの作り方なんて、作り方をわざわざ書かなくてもいいほど初歩的なものなのでしょうね。 手造りは面倒という人のために「無理に作る必要もない」「街にはめちゃくちゃ優秀なケーキ屋さんがいっぱいある!」とちゃんとフォローしてくれています。 この文章の眼目はどうやら傷ついた(?)こころを癒すためには「お菓子を食べるのがいちばん」ということのようですね。 別の話題のところ(Ⅱそうそう。 それで?の「たとえ夢はかなわなくても」)では「好きな食べ物を死ぬほど食べて」高熱を下げるという治療法(?)が紹介されています。 この治療法を伝授してくれたのは懇意にしている編集者のひとりで「私が風邪をひいて高熱を出してダウンしている」時でした。 「柊さん、好きな食べ物は何?」 「お菓子」 「じゃあ、それを死ぬほど食べればいいですよ。」 と編集者は柊さんと同じ状態にあった友人がチョコレートケーキを「ワンホール丸ごと食べ、たちまち嘘みたいに熱が引いた」と教えてくれたのです。 で、柊さんの場合は? |
チョコレート人間劇場