【あの雑誌が創刊号のころ】■ダカーポ dacapo■
1999/09/17
誌名の「ダカーポ」はごぞんじの音楽用語「始めから(繰り返して)」だ。<「現代」そのものが圧縮されているリトル・マガジン>という惹句がついている。黒べたの地に金べ
たで誌名と中身の見出しが刷られ、「創刊号」の文字と特集の「長島茂雄の言語感覚」というタイトル文字が赤。毒々しい感じの表紙だ。
昭和56年11月20日発行、5日と20日の月2回発行で定価170円。A5、112ページ、版元は平凡出版株式会社、現在のマガジンハウスだ。
読売巨人軍の長島茂雄監督の「いわゆる、ま、ひとつの・・・」というしゃべり言葉の魅力(?)は、もうお笑いの種にもならないほど色あせてしまったけれど、いまだに“長島
ファン”は世に多い。この雑誌が出た56年は現役引退後7年目、巨人退団後2年目だ。
そのころから、平成と変わって11年たつ現在も、野球といえば“長島”だ。いわゆるひとつの“野球ずき”の心理は“永遠に不可解”です。
第二特集は「全調査・夕刊フジvs日刊ゲンダイ」で、昭和44年創刊の「フジ」と50年創刊の「ゲンダイ」の比較。発行部数合わせて150万部という両紙の違いを、「ゲン
ダイが展開するのは“正義”と“金儲け”と“エロ”という人間の持っている不満と欲望であり、フジの特徴は豊富なストレート・ニュースを、やわらかく上品に処理するところにある」と結論づけている。
「現代用語辞典」というページに「カボシ肉腫」の解説がされている。「ニューヨークとカリフォルニアでホモだけに発病する(?)珍しいガン」、「今回の発見は若年層の41
人」、「発病前にニューヨークに滞在していたことが共通点」で「ガンは伝染する?」という内容。エイズは当時、アメリカでもこの程度しかわかっていなかったのだ。
コラム「気になる数字」に紹介されているのは、国税庁による55年度サラリーマンの平均年収や三百年前の沈没船から引き揚げたブランデー1本の値段など。前者は295万円
後者は570万円。あなたのサラリーマンとしての値段は、どんなものかしら、ネ?
高さ1.1、横2.2、奥行き1.1メートルの空間にカラーテレビ、金庫、アラームクロック、ラジオ完備。清潔寝巻、毛布つき、室温20度C。これがカプセルホテルの仕様
書だ。第1号は大阪梅田に54年9月にオープン、この雑誌が出たころは全国に13店が営業していたらしい。料金は1900~3000円。