月守 晋

チョコレート人間劇場

チョコレート買いに地獄へ —- 寺山修司

2008年09月10日

チョコレート買いに地獄へ —- 寺山修司

寺山修司が亡くなったのは1983(昭和58)年5月4日のことで、肝硬変と腹膜炎に肺血病を併発したためでした。享年わずかに47。若死です。

1935年生まれの寺山と同時代を生きた者には寺山修司の名は、ことに多少とも文学の途に関心をもっていた者には恐るべき名前でした。
当時「蛍雪時代」という受験雑誌がでていましたが、その詩や短歌、俳句の投稿欄の受賞、入選作の常連が寺山で、天・地・人の3賞を独占ということすらあったくらいでしたから。

寺山が亡くなって10年経った93年12月、彼が「生前に構想した」という角書き(つのがき)付きの同人誌が深夜叢書社から出版されました。「雷帝 Raitei」とタイトルを与えられたこの雑誌にはしかし、「創刊終刊号」と銘打たれていました。つまり、1号ぽっきりの雑誌だったのです。同人は倉橋由美子、齋藤愼爾、宗田安正、寺山修司、松村禎三、三橋敏雄。これには寺山の詩・劇中挿入短歌12首(「わが地獄変」)、単行本未収録作品の19編が掲載されています。

ところがこの3月(2008年)、『月蝕書簡』と書名を付けられて、「晩年に書きためた」という未発表の歌集が出版されました。田中未知編、版元は岩波書店です。

冒頭に掲げたのはその中の一首です。「チョコレート買いに地獄へ行く」、の後に「姉の帯留赤し瀆されにけん」と続きます。
「地獄へ買いに行く」というチョコレートとはどんなチョコレートなのでしょう。そして「瀆されてしまっただろう姉の帯留」へと続く一首でどのような詩世界を作ろうとしたのでしょうか。

前半と後半をどのような想いがつないでいるのか、つかみとれないのです。

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