月守 晋

あの雑誌が創刊号のころ

【あの雑誌が創刊号のころ】■噂の真相■

【あの雑誌が創刊号のころ】■噂の真相■
1999/8/20

昭和54年4月1日創刊。A5判、118ページ、定価340円。月刊。

表紙に刷り込んである記事タイトルをそのまま並べてみると、「出版社が危ない!-その危機説の噂と構造」「出揃った’78映画ベストテン選考の内情」「村上龍監督作品
『限りなく透明に近いブルー』の評判」「タレント帝国ナベプロの“実力”は、いま・・・」の4本。雑誌タイトルの角書には“人はこれをスキャンダル雑誌という”とある。

「噂の真相」は「マスコミひょうろん」のタイトルで刊行されていた雑誌だ。発行人(つまりお金を出している人)と編集の間に編集方針をめぐって対立が生じ、編集長以下、編
集全員が飛び出して、自分たちの信じる編集方針の下で雑誌を出し始めたのだ。

「マスコミひょうろん」と「噂の真相」との間には、2誌をつなぐ“創刊準備号”が出されている。「幻の12月休刊号」とうたったこの準備号は「マスコミひょうろん」に掲載
するはずだった予定原稿を生かしたものだ。表紙に刷り込んである記事タイトルを列挙しておこう。
「『週刊現代』1000号記念パーティの教訓」「OLのクビも飛ばした『週刊新潮』の“実力”」「あの沖山秀子が書いた『直射日光』の周辺」。
他には「書かれざる三島由紀夫のエピソード<PAPRT・2>」板坂剛/「知られざるホモ雑誌の世界をのぞく」杉山純子/「ブラウン管に出ない声優たちの世界」足立倫行などで、
ミニコミ探訪の最終回で「本の雑誌」が取り上げられている。書き手は猪野健治。

さて、「噂の真相」に話題を戻そう。スクープ記事が「疑惑の主人公・海部八郎のマスコミ人脈はこれだ!」。
昭和51年7月、前首相田中角栄が米ロッキード社から、航空機販売にからんで5億円の裏献金を受け取っていた、という受託収賄罪と外為法違反の容疑で逮捕された。
いわゆる“ロッキード事件”だ。このロッキード事件には、お手本になったといわれる“グラマン疑惑”というのがあって、日商岩井の副社長だった海部はそのキーパーソンといわれた人物。
海部側のマスコミ操作に「週刊現代」をはじめ月刊「現代」、「宝石」がいかに踊らされたか、という暴露記事だ。書き手はなぜか仮名を使っている。

創刊号の編集兼発行人は岡留典則。当時31歳(と自身で「編集室からのメッセージ」に書いている)。
創刊の決意を次のように述べている。
「情報化社会の進展につれてますます管理化されていくマスメディアの間隙を縫って、ひたすら管理されない情報を日夜追い求めて、うわさ、ゴシップ、スキャンダルをふくめて可能な限り活字化していきます」。

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