月守 晋

A petty talk on chocolate

■マヤの神話■

■マヤの神話■
1999/11/12

チョコレートの原料である「カカオ」の名称が、マヤ族のことば、「カカウアトル」に由来するということは、よく知られている。マヤ族は人類で初めて、「カカオ」の木を植林
して富の源泉とした民族でもあった。

そのマヤ族の神話によると、原初、世界にはただ「闇」だけが広がってい、この闇に神々だけが存在していた。
神々はあるとき相談をして、まず大地を作り、大地に住まわせる動物たちを作り、最後に木を刻んで小さな人間を作った。
ところがこの人間たちがどうにも性悪で、そのうえ神々をないがしろにするので、腹を立てた神々は洪水を起こして人間を滅ぼすことにした。

洪水が起きると、逃げまどう人間を鳥たちが襲い、それを見て家畜や人間に使われていた道具までもが人間をあざ笑った。
道具と人間を同じ水平線上において見ているところが、マヤ神話のユニークなところだ。

ところで、「ノアの方舟」にかぎらず、太古の昔の洪水伝説を語る神話は世界中に普遍している。
そのうち、インドの神話では、地平線が燃え、空には12個の太陽が出現して海を涸れさせ大地を焦がす。
その後に12年も雨が降り続き、大洪水が起こって大地を呑み込み、人類を滅亡させるのである。

こうした民族神話は、それぞれの民族が生きる糧とした食物についても語っている。
マヤの神話では知恵と知識の神・農業の神ケツァルコアトルがココアの栽培法を教えてくれたことになっているが、マヤ族のたいせつな食物であるトウモロコシも、彼らに対する神の
恵みである。トウモロコシの神は、神自身がトウモロコシに化身して土に蒔かれ、芽を出し、丈高く伸び、実をつけるまでのすべての栽培の過程を人間に示して教えた。トウモロ
コシが育つために必要なものはみな、天候を司る神々が供給してトウモロコシ神を手助けするのである。

日本の神話では須佐之男尊に殺された食物神・大気津比売の目からイネ、耳からアワ、鼻からアズキ、ほとからムギ、尻からダイズがはえたと語っていることは、古事記に目を通
したことのあるひとなら記憶にとどめていることだろう。

インカ神話の創造神はチチカカ湖にいたビラコチャという神である。ビラコチャ神は太陽や月、星を作り、大地を作った。大地の後に自分にそっくりの人間を作り、クスコを人間
たちが住むべきところとした。クスコは「世界の臍」という意味である。
インカの神話では、神に殺されて埋められた男の歯からトウモロコシが生えてきたことになっている。

これらの神話が示してくれるのは死と生命の回帰ということだろう。死ぬことによって、
新しい生命の源になるのである。

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