2010年01月14日
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30. 「『公園通りの石畳』が作られている場所はですね、渋谷ではなく、神奈川県の平塚市だったのです」 『お買物日記』は作家と料理家の、共に30代前半の2人が手に入れたお気に入りの品々を写真入りで紹介してくれる、まぁ、一種の買い物ガイドブックですね。 紹介されているのは全部で46点。日本のものと外国のものもとり混ぜて、といっても『日記』は1と2があるので46X2=92点です。 製造元の名前を聞けば「あぁ」とうなづけるものもあれば「うん?」と遠目になってしまうものもある。「そんなところにそんなものが!」とびっくりさせられるものもある。というわけで、身の回りに余分なものなど置かない、単純明快・簡素第一というひとにも読めばなかなか面白いのです。 たとえば“びっくり部門”の一つがお寺で売ってる日本手拭(てぬぐい)。京都栂尾(とがのお)の高山寺で売られている手拭には国宝の絵巻「鳥獣戯画」がプリントされていて、色合いも深い藍色、薄茶、グレーと3色あるのだそう。 しかしこのお話は“お寺止まり”ではなくて、世良公則のツイストのライブにまで発展するところがミソ。 ところで『お買物日記』1・2で紹介されている92点のうち食品が[1]に11品、[2]に10品。そのうち[1]に2回、[2]2回の計4回チョコレートが取り上げられています。 文章を書いている谷村さんは必ずしもチョコレートに好意的ではなく[1]で紹介されている自由が丘の‘トップ’の「バナナボートケーキ」のページでは、「トップといえばあれかい?あの甘―いチョコレート・ケーキの店かい?」と書いています。 でもこれは谷村さんの思い違いで、“甘―いチョコレート・ケーキ”の店の名は「赤坂トップス」なのでした。それに谷村さんが嫌いなのは“甘―い”チョコレートらしく、「カカオの味がよく効いた、なめらか」な生チョコなどは大好きらしく、和緒先生から聞いていた「公園通りの石畳」の話を旅先で耳にして商品名から連想して渋谷の公園通りの店をたずね回ったり、銀座のデパートに行ったり探しに探すのです。 結局、最終的に料理家の飛田(ひだ)和緒先生が「家中をひっくり返して」かつていただいたチョコレートの中に入っていた小さなカードを見つけて、正しい製造元に行き着きます。 冒頭の一節はやっと見つけたその店の所在地です。 『日記』の[2]には「デメルの金の舌チョコレート」について実に深遠な考察(?)が述べられています。 注:引用したのは2000年出版のものです。 |
チョコレート人間劇場