2008年10月22日
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3. 「白楂古聿」・・・って、何? 世界で最も短い文学の表現形式といわれる俳句はわずか17文字、17音の短詩です。31音の短歌ならば、6音のチョコレートを1首の中に詠(よ)みこむのは比較的やさしいかもしれませんが、俳句には余裕がありません。 チョコレートを詠みこんだ句を探していると、上に掲げた文字使いの句に出会いました。 漢和辞典を引いてみますと、「楂」は「いかだ」または樹木の「ボケ」で音は「サ」です。「古」はおなじみの漢字ですから問題はないでしょう。「聿」は「ふで」のことで音は「イツ」または「イチ」。 「ショコラ」はフランス語で「チョコレート」のこと。「楂古聿」でなぜ「ショコラ」と読めるのか。中国語音でしょうか。わかりません。これは鈴木栄子という俳人の句で、1句は「バレンタインデーの奇襲の白楂古聿」と詠まれています。田村ひろじというひとの『お菓子俳句ろん』という本で見つけました。この本には、 春隣子が父に買ふチョコレート という句も掲げられています。 「春隣」の句はわかりいい句です。「春隣」は俳句独特の「季語」というもので、「春がすぐ近くまできている今日このごろ」の意味です。「楂古聿」の句の眼目は「奇襲の」という言葉使いでしょう。チョコレートといえば「こげ茶色」と思い浮かびますが、この句のチョコレートは「白」。そこで「奇襲の」という言葉が生きてきます。 角川書店版の『俳句歳時記』(第4版春)には次の1句が採られています。 いつ渡そバレンタインのチョコレート 若い女性の気持ちそのままの一句です。 |
チョコレート人間劇場