投稿日: 2009年11月16日
「ヨーロッパの食とギフトを学ぶ研修旅行」(7)
1986年3月9日、3回目の勉強会で思ったことは、わざわざ外国まで出かけてきてマ
ーケティングの勉強をすることはきわめて意義のあることだということだった。講師はモ
ロゾフ生え抜きのマーケティング・マンで実際に起きた現場の問題を俎上にのせ整理して
くれる。矢野経済研究所の製菓業のクライアント先の役員が参加したグループの勉強会で
は、テーマにふさわしいその役員が自社のケースについて問題点を話すというケーススタ
ディになり興味深いものになった。9日間もグループ旅行をしていると連帯感のようなも
のが生まれて会話の端々にも本音が出てくる。どこの会社にもそれぞれ解決すべき問題が
山積していて、日夜解決のため奮闘している生々しい発表に接していると、勉強会である
にもかかわらず、むしろ安堵感のようなものを覚えて、妙である。
松宮隆男が掲示するテーマは教科書的なもので新鮮な驚きはない。しかしこのテーマに沿
って矢野経済研究所の秋坂洋二郎がクライアント先の問題点をディスクローズさせて発
表は参加者全員に共通する問題提起が多かった。そして実践に役立つものばかりであった。
理屈ではなく感性に訴えるもの、新しい経営手法ではなく前近代的なもの、なかには恥ず
かしいような表現もあった。
l感動をもってものを作り、感動をもって売る。
l涙を流して作れ!
l職人ではなく、職人魂が必要だ。
l人づくりを考えるとき、5年先はどうなるであろうか、を自らに問え。
l業種、業態が変わっていく。ダンスの種類の違いのように。踊り方が違ってくる。
lクッキーの40メートルのバンドオーブンと8キロしか焼けない差し窯の違いをどう
使い分けるか。差し窯を客の目の前で焼いて見せる。
l数字をドラマとして見る。
l国際化時代。ニューヨークのブルーミングデールをみよ。試食見本を切り分けてたべ
させない。1個まるごと渡して食べさせるのでなければやめた方がよい。
l31歳の大学卒の店頭販売技術はどれほどのものか。生活感は人柄に表れる。
l店頭販売は若者ではなく年長者でなければシルバーマーケットは狙えない。
l女性の時代である。フェミニズム。ユニセックスが進む。専門職の時代。
l自らが真剣に生きる。生活意識と行動をもって。La vie!
l私だけが持っている知識と美意識。(私だけが知っている「食べ方」)
lネアカなイメージを描けなければならない。ネクラ人種は生き残れない。
l会社の風土をネアカにしよう。遊びが仕事で、仕事が遊びである、
これが理想の会社風土(マーク・トゥエイン)
l開発こそ命の綱である。小さいマーケットで大きなシェアをとる。
l分からない人に分かるように教える。オリエンテーション技術で生き生きとさせる企業風土を作れ!
l会議は少ない方が良い。しかしオリエンテーションにはフィリップ66方式の会議は
有効である。
l不愉快な相手とは商売するな!
l自分がやっている仕事は期待されている数値の70パーセントであると思えば、
自分がほしいと思っている報酬が70パーセントであることに納得がいく。
私の勉強会でのノートはこのようなフレーズに溢れている。いつ読んでも本質をついた考
え方である。なかでも「共通の目標、共通の理解、共通の支援」は中小企業にとって核心
をついた標語として早速採用した。10人で経営する会社の売り上げは1人、1億で年商、
20億円という目標を達成するために非常に効果があった。この標語を見つけただけでも
この旅行の目的は達せられた。
1986年3月10日、ローマからパリへ移動。ホテルのチェックイン前に貸し切りバス
でパリ市内の観光ができるというのも、矢野経済研究所のノウハウであろう。パリにあっ
てカリフォルニアというホテルはモロゾフの葛野友太郎の定宿である。シャンゼリゼ、凱
旋門の近くで便利である。JALのパリ支店の近くであるところからJALが重宝してい
たホテルである。
第11日 1986年3月11日(火)
7:00 朝食(ホテル)
8:00 Houbbetard の朝市見学 季節感にあふれるパリの
朝市を見ることによって庶民の生活にふれることができる。
10:00 パリ市内 ショップ視察 パインデューエピス。
日本にはないような品揃えをしているプレゼントショップ。
ルノートル洋菓子学校 本場パリで一流シェフになるため生徒はみな真剣である。
ひとつの企業がオープンな学校をもっているのは、さすがにパリは菓子のメッカである。
17:00 松宮隆男 第5回勉強会 V. ヨーロッパのアイディアを導入する。
A.具体的事実にもとづく検討
B.全員の意見交換
C.業種から業態へ
D.社会的評価
E.まとめ
20:00 フランスの食生活を一流レストランで体験する。
食後散歩しながらホテルへ帰館。
第12日 1986年3月12日(水)
8:00 朝食(ホテル)
9:00 パリの菓子ショップのマップを配布して、グループ毎に視察をするオリエンテーションを行う。
10:00
<高級菓子店>
Coquelin Aine (コクラン・エネ)
Peltier (ペルティエ)
Christian Constant (クリスティアン・コンスタン)
Millet (ミエ)
Dalloyau (ダロヨー)
Fauchon (フォーション)
Lenotre (ルノートル)
Aux Delices (オ・デリス)
Clishy (クリシー)
<チョコレート・コンフィズリー専門店>
La Maison Du Chocolat (ラ・メゾン・ド・ショコラ)
Fouquet (フーケ)
Fouche (フーシェ)
Debauve et Gallais (デボ-ヴ・エ・ガレー)
Godiva (ゴディヴァ)
Leonnidas (レオニダス)
<アイスクリーム>
Berthillon (ベルティヨン>
<パイ>
Boudaloue (ブーダルー)
<パン>
Poilane (ポアラーヌ)
La Moulea Gateau (ラ・ムーラ・ガトー)
<道具屋>
Dehillerin (デェルラン)
Mora (モラ)
a.Simon (ア・シモン)
18:00 ホテルに帰着
19:00 ホテルにてパーティー 参加者全員で最後の交換会
第13日 1986年3月13日(水)
8:00 朝食(ホテル)
9:30 特別バスでシャルルドゴール空港へ
フランス出国手続き
12:20 パリ発 AF-274 アンカレッジ経由、東京へ 機中泊
第14日 1986年3月14日(金)
14:10 新東京国際空港入国(入国審査、税関)
解散
<つづく>
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