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チョコヴィック・スクール

投稿日: 2004年9月16日 

チョコヴィックは工場の一部を改造して菓子学校を始めた。1995年のことだった。校長にはスパニッシュ・マスター・パティスリー・チャンピオンシップで最年少で優勝したラモン・モラトを招聘した。エルブジのシェフ、フェラン・アドリア、弟のアルベルト・アドリアも人気の的である。モノからコトへの転換の早さに驚いた。生徒に素人はいない。授業料は超がつくほど高い。メーカーの宣伝のために学校をつくったのではない。ビジネスとして経営しているのだ。ネダーランド・グループでの稼ぎ頭であるという。希代の天才シェフ、フェラン・アドリアが何を教えてくれるのかと、プロが集まる。プロがプロに学ぶ。教室の設備もいい。教科書は一回切りのものだ。その都度、出席した生徒分しか用意しない。教える方も教わる方も真剣勝負そのものだ。

ラモン・モラトが高島屋主催のスペイン展のイベントに来日したとき、とらや、一炉庵でスタージュさせてもらった。見よう見まねで包餡する姿勢は職人そのものの意地をみせた。40年とらやで包餡している職人が、

1年間、とらやで包餡している見習い以上の腕だと感心していた。

合羽橋の道具屋街に連れて行った。海外にはこのような問屋街はない。興味津々、2時間以上かけて丹念に見て回った。特に、吉田道具店へは2回足を運んだ。その他、メゾン・ドゥ・ショコラ、桃林堂、ペルティエ、デメル、ドトール、ローソン、ダイエー、チョコラ・ドュ・アッシュ、ロビュション、高島屋日本橋店、アンリシャルバンティエ銀座店、松屋銀座店、マルコリーニ、リシャールと勢力的に連れまわり、日本のさまざまな業態を実感してもらう。

海外から来るチョコレート職人はいつも筆者が連れて回る定番コースである。とらやにはいつも無理をいってスタージュさせてもらっている。自分で包餡した生菓子を食べながら「おうす」をいただかせてもらう。日本にはこれほど多くの芸術的な菓子があることを実感してもらうため連れ回すのである。日本には1億2000万人の人口があるのでもっとチョコレートが売れるはずと思っている彼らに、茶道と結びついた伝統菓子を学ばせる。小豆がガン細胞をおさえる物質をもった健康食品であることも伝えて、神々の食物であるチョコレートも日本では苦戦するのだ、と。

写真: ラモン・モラト 一炉庵、とらや、スペイン展

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