投稿日: 2004年9月9日
ボナーの創業時、19世紀の後半には列強が世界中で植民地経営に精出していたことをボナーの板チョコの産地からうかがい知ることができる。1992年にスペインのチョコヴィック社が3種類の産地別板チョコ、オリヘン・ウニコ(オクマーレ、グアランダ、グヤーヴェ)を発売して、今や産地別チョコレートは世界の流行となったようだ。しかし、ボナーはすでに19世紀末にこの産地別カカオの板チョコを始めていたのである。すべて1枚、100グラム。それは次の8種類。
- Hacienda El Rosario
- Cote d’Ivoire
- Madagascar
- Chuao
- Puerto Cabello
- Trinite
- Eauateur
- Ceylan
カカオ分75%のものと、65%のものがあるので都合、16種類のダーク・チョコレートがある。その他にミルクチョコレート(カカオ分65%)が3種類ある。
- Java
- Asfarth
- Surabaya
以上、19種類の他に200グラムの製菓用の板チョコがあって合計20種類となる。産地別のチョコレートは原料のカカオビーンズのクロップによる違いや、豊作、不作でも味が違うので、ボナーのブレンドによる究極のダークチョコレートとして200グラムの板チョコを提供しているのだとボナーはいう。ホワイトチョコレートはココアを含まないのでボナーには板チョコはない。原料用としてはホワイトチョコレートも用意されている。
産地別やカカオ分の多少、ダーク、ミルク、ホワイト、幾種類ものナッツをミックスしたものを組み合わせて、チョコヴィック社の子会社、カカオサンパカには100種類もの板チョコがある。しかし、ボナーはあくまでもカカオの持つ本来のフレーバーにこだわって、奇を衒(てら)わない。人手をかけたバッチ処理(興行的な連続生産ではない)でレシチンも香料も使わない。
ボナーの製品はコーシャでもある。日本ではコーシャって何?とあまり知られてないが、コーシャとはユダヤ教徒が食しても良い、とユダヤ教のラビによって認定された食品のことである。生産は必ずラビの指定する敬虔なユダヤ教徒が立ち会い厳重な監査と管理が行われる。コーシャに認定された食品はイスラム教徒にとっても豚のような獣脂が含まれていない、安全な加工食品として選択されているようだ。
現代は生産効率、一辺倒でどんな食品でも生産性が優先される。ましてや宗教と食品の原料や生産工程と関係があろうなどと考えることは、まず、日本人にはない。アレルギーが蔓延している現代、まず、食から見直さなければならない。フランスの田舎町にあるボナーの心意気に感じ入ることしきりである。
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